第291章

川崎正弘が、初めて深く考え込んだ。

 丹羽光世が立ち上がって近寄り、川崎正弘の肩をぽんと叩くと、軽い調子で言った。

「義妹、いい子だろ。のんびりしてると、局には優秀なのが山ほどいるんだし、誰かにかっさらわれるぞ。そうなったら、後悔しても遅い」

「はっ、誰が後悔するかよ。俺に何の関係がある」川崎正弘は居心地悪そうに笑い、胸の奥の焦りをごまかした。「あいつに本気で相手ができたなら、俺はちゃんと手土産持って祝ってやる。ついでに、あいつに選ばれた不幸な野郎を慰めてやるよ。……じゃあな。お前ら親子の邪魔はしない。帰る」

 川崎正弘はひらりと手を振り、外から見ればやけに格好をつけたまま、すたすた...

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